活動報告
2023/03/30
【写真:山本一広氏】
第31回となる倫理委員会・CAB-J共催セミナーが、3月13日(月)にオンラインにて開催されました。公益社団法人日本広告審査機構(JARO)の山本一広専務理事を講師にお迎えし、「広告・表示のフェアプレイ -適正な広告・表示を実現するために-」をテーマに講演を実施していただきました。
2022年度上半期におけるJAROでの総受付件数は6,405件で、これは前年同期比87.8%、うち苦情が4,844件(同86.6%)、照会が1,159件(同88.0%)となりました。
媒体別では、テレビ・インターネット2媒体に対する苦情の全体に占める割合は依然として高い水準でした。インターネット上の広告・表示に関する苦情は2020年のコロナ感染症拡大初期をピークとして、アフィリエイトや、クリックを狙った不快な広告が激減、一定の適正化が進んでと考えられるとのことでした。広告の業種別でみると20年に最も多かった健康食品、21年に最も苦情が多かった化粧品が大きく減り、医薬部外品が微減はしたものの、22年上期には最も多い業種となりました。
苦情件数4,844件のうちJAROの審査対象となり見解が出された件数は13件、最も重い処分の「厳重警告」は前年同期7件から6件に減少しましたが、法違反のおそれのある「警告」以上の数は増加、悪質な広告・表示を行う事業者は依然少なくないとのことです。22年度上期にはテレビに対する見解の発信は無く、テレビ業界の広告表示適正化が保たれていることを示してくれました。
審査広告事例は、機能性表示食品での違法な医薬品的効能効果表現、弁護士法人の「国からのお知らせ」という広告主を誤認させる表現、化粧品での違法な効能効果などの不適切な表現について解説がありました。No1表現については「体験者以外を対象とした満足度調査」や「ウェブサイトを比較しただけのイメージ調査」が多くの事例で見られるとのことで、「調査対象者の選択にバイアスをかけてしまうしくみによる不適切な調査」の手法例の解説もいただきました。
不当表示広告を放置することは結果として業界全体の信用を下げ、健全な広告活動を阻害してしまう、適正な広告表示が広告業界の健全な成長に寄与するという趣旨の講演でした。